ピストバイクの定義を知りたい!
ピストバイクの特徴とデメリットを教えて!
このような方におすすめの記事です。
本記事を最後まで読めば、「ピストバイクとは?」という基礎から、ピストバイクの人気の理由がわかります。
あなたもピストバイクデビューしてみませんか?
ピストバイクのおすすめメーカー(ブランド)一覧は下記をご覧ください。
ピストバイクとは?
ピストバイクの発祥は、競輪(トラックレース)の競技用の自転車です。
ピストバイクの語源は、フランス語で「自転車競技場」の意味である【ピスト(piste)】から、自転車競技場で走る自転車【バイク(bike)】で、【ピストバイク(piste bike)】となっています。
英語では【トラックバイク(track bike)】と呼ばれます。英語で自転車競技場【トラック(track)】ですね。
競輪の競技中は止まることも速度を落とすこともないので、競輪用のピストバイクはブレーキがついていないのが特徴です。
※日本では公道を走るためにはブレーキの装備が義務付けられています。
1970年代後半から、ニューヨークのメッセンジャー達の間でピストバイクが大流行しました。
これまでのロードバイクと比べて多段ギアやブレーキが付いていないため、シンプルな構造でメンテナンスがしやすく、頑丈なため壊れにくかったからです。
また、ロードバイクに負けず劣らずの高速走行が可能で、街乗りに最適だったのも人気の理由の1つです。
ピストバイクの3つの特徴
ピストバイクを語る上で欠かせない、3つの特徴をご紹介します。
- 「シングルスピード」で変速機が無い
- 「固定ギア」で常にペダルが回り続ける
- 「(本来は)ブレーキなし」だけど公道では法律上ブレーキ必須
特徴①「シングルスピード」で変速機が無い
ピストバイクは、細いタイヤやドロップハンドルなど、一見するとロードバイクに良く似た外観を持っていますが、変速機が無いのが最大の特徴です。
変速機が無い=単一ギア(シングルギア)のことを「シングルスピード」とも呼びます。
いわゆる「ママチャリ」や「ビーチクルーザー」などもシングルスピードの自転車の1つです。
走行中にギアチェンジの必要が無いため、ギアチェンジにまごつくこともありません。
シンプルにペダルを漕ぐだけで走行できます。
特徴②「固定ギア」で常にペダルが回り続ける
ピストバイクは「固定ギア」と呼ばれるギアを装備しており、ペダルの動きと後輪の動きが連動しているのが特徴です。
そのため走行中にペダルを漕ぐのを止めたとしても、自転車が進んでいるかぎりペダルが回り続けます。
また、逆に漕ぐとバックする構造になっており、ブレーキの代わりにペダルを逆に踏むスキッドと言われる技術で速度調整することができます。
さらに、ペダルを漕ぎ続けないと進めないので、坂道でも常にペダルを漕ぎ続ける必要があります。
対して、ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクやママチャリなどの自転車で装備されているのは「フリーギア」となります。
ピストバイクももちろん「フリーギア」に変更することも可能です。
固定ギアとフリーギアの両方が搭載されていて、後輪の向きを入れ替えるだけでギアを変更できるピストバイクもあります。
フリーギアなら、自転車に乗れる方であれば誰でもすぐに乗りこなすことができます。
特徴③「(本来は)ブレーキなし」だけど公道では法律上ブレーキ必須
元々は競輪用の自転車から始まったピストバイクは、ブレーキが付いていませんでした。
競技中に急停止してしまうと事故に繋がるためです。
しかし日本では公道で自転車に乗るためには、ブレーキの装備が法律(道路交通法)によって定められています。
(自転車の制動装置等)
第六十三条の九 自転車の運転者は、内閣府令で定める基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車を運転してはならない。
2 (略)
(罰則 第一項については第百二十条第一項第八号の二、同条第二項)
[5万円以下の罰金]道路交通法施行規則
(制動装置)
第九条の三 法第六十三条の九第一項の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 前車輪及び後車輪を制動すること。
二 乾燥した平たんな舗装路面において、制動初速度が十キロメートル毎時のとき、制動装置の操作を開始した場所から三メートル以内の距離で円滑に自転車を停止させる性能を有すること。
東京都の条例では、自転車小売業者が、自転車の利用が道路交通法等に違反することとなることを知って、自転車を販売してはならないこととされています。(第23条)
具体的には、法令では、自転車にブレーキや警音器を備えなければならないこととされているため、購入者が公道で利用することを知って、ブレーキや警音器が備えられていない自転車を販売してはなりません。
また、例えば、夜間に自転車を利用する場合にはライトを点灯させなければならないので、その場で利用することを知って、ライトが装備されていない自転車を夜間に販売してはなりません。
自転車組立業者や自転車整備業者が、上記のような自転車となるように組み立てたり、改造したりすることも禁止されています。
なお、「ブレーキを備えていないフレーム」の販売は、部品の販売であって自転車の販売ではないので、禁止されていません。
ピストバイクが人気の理由
ここまでピストバイクの特徴をご紹介してきました。
次にピストバイクが人気の理由についてご紹介します。
- 自転車との一体感
- シンプルなデザイン
- 頑丈さ、タフさ
- カスタマイズ性
- リーズナブルな価格
人気の理由①自転車との一体感
ピストバイクの人気の理由を語る上で欠かせないのが、「自転車との一体感」です。
固定ギア特有のペダルを踏んだ力がダイレクトに車輪に伝わる感じが、ロードバイクなどでは味わえません。
自分が漕いだ分だけスピードが出せるので、満足感は他の自転車と比べようがありません。
スピードを抑えるのも、バックを踏む(逆回転にペダルを回す)ことで自由自在にスピードを操ることができるため、自分で自転車を操っている感覚の自転車との一体感がピストバイクの人気の理由です。
人気の理由②シンプルなデザイン
ピストバイクは変速機が無いため、とくに後輪まわりが特にシンプル構造でスッキリしています。
ロードバイクなどの多段ギアを搭載している自転車と比べると一目瞭然です。
ペダルやブレーキなど、走るのに最低限必要なパーツのみで構成されています。
シンプルでスタイリッシュなデザインは、ファッションという面からでもオシャレ好きな方に人気です。
人気の理由③頑丈でメンテナンスしやすい
ピストバイクは高い衝撃吸収性と剛性を備えたクロモリフレームを採用することが多く、頑丈かつ軽量なのが魅力です。
また、ピストバイク特有のシンプルな構造ゆえに、メンテナンス性も高いのが人気です。
変速機の故障などトラブルも少ないので、メンテナンス費用があまりかからないのも人気の理由の1つです。
丈夫なのでガシガシ乗れるので、サイクリングだけでなく日常使いでも楽しむことができます。
人気の理由④カスタマイズ性
ピストバイクはパーツを取り替えるだけでもガラッと雰囲気が変わるため、自分でカスタムされる方も多いです。
ライトやヘルメット、グローブなど工具が不要なアイテムを購入するだけでなく、いくつかの工具があれば、ハンドルやサドル、ペダルなども短時間で交換することができます。
Youtubeにてカスタム動画を配信されている方もいるので参考にすると良いと思います。
人気の理由⑤リーズナブルな価格
ピストバイクは、ロードバイクやクロスバイクに見た目がとても似ていますが、とてもリーズナブルな価格なことも人気の理由です。
ロードバイクやクロスバイクは最低10万円以上はかかり、人気ブランドであれば15万円以上は必要です。
ピストバイクなら5万円台から購入できます。
10万円前後あれば、かなり良いピストバイクが購入できちゃうので、浮いたお金でパーツやウェアなどを充実させることも可能です。
ピストバイクのデメリット
反対にピストバイクのデメリットも見てみます。
- 坂道が苦手
- 長距離走行に向かない
- 急に止まりづらい
デメリット①坂道が苦手
ピストバイクはシングルスピード(単一ギア)であるため、ロードバイクなどのように上り坂でギアを軽くして回転数を上げることができません。
急な上り坂は無理せずに自転車から降りましょう。
ピストバイクは下り坂も苦手です。
ピストバイクは固定ギアなので常に漕ぎ続けなければならないのは、下り坂でも同様です。
ブレーキを使用しつつバックを踏む(逆回転にペダルを回す)ことで減速しながらもペダルは回り続けるため、慣れないうちは下り坂の方が危険です。
デメリット②長距離走行に向かない
ピストバイクはシングルスピード(単一ギア)のため長距離走行に向かないとされています。
やはりスピードに合わせてギアをいつでも変更できるロードバイクほど快適ではありません。
しかし、コグ(ギア)を変更してギア比を調整することでロードバイクにも劣らないスピードで走行することも可能です。
ただペダルを常に漕ぎ続けなければならないため、体力の消耗も激しいです。
もちろん体力のある方であれば、ピストバイクで長距離走行でも問題ないと思います。
デメリット③急に止まりづらい
ピストバイクは、固定ギアゆえの急に止まりづらいというのもデメリットの1つです。
もちろんブレーキは必須なのでブレーキも使いますが、足を急に止めることができないため、減速中もペダルを漕ぎ続けています。
通常の走行でも交差点に差し掛かる際に、信号が変わりそうであれば、事前にかなり前から減速しておく必要があります。
ピストバイクには、「スキット」という後輪をロックさせて地面を滑らせて減速するトリックもありますが、なかなか使いこなせる人は多くありません。
初心者におすすめ!ピストバイクのカスタマイズ方法
先ほどピストバイクはシンプル構造なためにカスタマイズしやすいことをご説明しました。
ここからは初心者にもおすすめのピストバイクカスタマイズ方法をご紹介します。
自転車店で購入時にカスタマイズをお願いすると工賃が無料になる場合も多いのでご相談してみては。
- ハンドル
- コグ(ギヤ比)
- ペダル
おすすめカスタム①ハンドル
ピストバイクのおすすめのカスタマイズは「ハンドル」です。
乗り心地に大きな違いが出てくるのがハンドルの形状です。
- ピストバーハンドル(ドロップハンドル)
- ライザーバーハンドル
- ブルホーンバーハンドル
この3つが主な種類となります。
ピストバーハンドル(ドロップハンドル)
ピストバーハンドルはドロップハンドルの一種となります。
ロードバイク用のドロップハンドルはバーの中央部分に水平な箇所があるのに対して、ピストバーハンドルは水平な箇所がなく、曲線だけの構造になっています。
正面から見るとなで肩のような見た目でスリムな形状をしているのが特徴です。
ライザーバーハンドル
ライザーバーハンドルは両端が斜め上に持ち上がり、グリップ部分が高くなっているハンドルです。
トリックなどする場合はこのライザーバーハンドルで高さがあるものが好まれています。
高さやグリップ部分の角度などが異なるなど、細かな種類が沢山あります。
ブルホーンバーハンドル
ブルホーンバーハンドルは両端が前方へ直角に曲がっており、見た目が牛の角のように突き出しているハンドルです。
バーが真っ直ぐになっているフラットタイプや、バーが斜め下に向かって曲がっており低い姿勢を保持しやすいタイプなどがあります。
おすすめカスタム②コグ(ギヤ比)
コグと呼ばれるギア部分もおすすめのカスタマイズです。
ギア比とは、「ペダルを一回転させた時に後輪が何回転するか」を示すものです。
「ペダル付近のクランクに付いているチェーンリングの歯数÷後輪に付いているコグの歯数=ギア比」となります。
例えば、チェーンリング(48T)、コグ(16T)の場合は、48÷16=「3.00」となり、ペダルを一回転させた時に後輪はピッタリ3回転することになります。
ギア比は「ペダルを踏んだ時の重さ」にも影響があります。
ギア比が小さければ車輪があまり回転しないので、ペダルを軽い力で漕ぐことができます。
しかしその分スピードは出せません。
ギア比が大きければ走り出しの際のペダルは重くなりますが、スピードを上げて走行中はペダルの回転数が少なくて済みます。
一般的なママチャリは、前ギアの歯数が32T、後ギアが14Tなので、ギア比は2.285となります。
一方で多くのピストバイクは46T×16Tの「2.88」で、街乗りに適したギア比になっています。
ギア比はまずは標準のもので試してみて、後であなたの好みに合った設定のものに変更してみても良いかもしれません。
おすすめカスタム③ペダル
ピストバイクのペダルもカスタマイズにおすすめです。
基本的にはロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクなどで使用されているものがそのまま使えます。
ストラップを付けられるペダルもあり、漕ぐ力をサポートするためにもストラップもおすすめです。
色や素材、形など様々な種類があります。
いくつかの工具があれば自分でも簡単に交換できますよ。
ピストバイクの人気ブランド
ピストバイクの人気ブランド4つをご紹介します。
- Fuji(フジ)
- CINELLI(チネリ)
- LEADERBIKES(リーダーバイクス)
- CARTELBIKES(カーテルバイクス)
人気ブランド①Fuji(フジ)
Fuji(フジ)は数少ない世界的に有名な日本発祥のスポーツバイクメーカーで、120年を超える歴史を持っています。
現在は競技用の自転車の開発に力を入れており、ピストバイクだけでなくロードバイクの世界でも有名ブランドです。
こだわりのクロモリフレームに代表される細身のシルエットが、シンプルでスタイリッシュなのが人気の理由です。
Fujiの定番ピストバイクは「Feather(フェザー)」です。
価格・デザイン・機能性のバランスがよく、その完成度の高さから毎年大きなモデルチェンジをしないというので有名です。
クラシカルなスタイルと、頑丈で乗り心地の良さでピストバイクの”ど定番”とされるのがFujiのFeather(フェザー)です。
人気ブランド②CINELLI(チネリ)
CINELLI(チネリ)」は、元プロロードレーサーのチーノ・チネリがイタリアで創業し、70年以上の歴史があります。
CINELLIの特徴はなんといっても個性的なビジュアルです。
CINELLIは有名なアーティストとのコラボも積極的に行っています。
自転車本体以外にも、個性豊かなアパレルも手がけており、そちらもファッショナブルで人気になっています。
イタリア「コロンバス」製のフレームを採用していることも魅力の1つです。
フレームメーカーのパイオニア的な存在であるコロンバスと長年タッグを組んでいるCINELLIは、自転車業界を常にリードしてきたブランドといえます。
CINELLIの定番ピストバイクは、TUTTO(トゥット)です。
TUTTO(トゥット)は、特徴的なフレームデザインとフォーククラウンにより、オンロードからオフロードまで様々な場所での走行を想定した自転車です。
シングルスピードバイクとしては珍しいVブレーキを採用しており、高い制動力で安心して街乗りを楽しめる一台です。
人気ブランド③LEADERBIKES(リーダーバイクス)
LEADERBIKES(リーダーバイクス)は1999年に米国で発売され、サーキットではなくストリートでのピストを追求した革新的なデザインで世界中を魅了しました。
独特のマットブラックのエアロフレームは、世界最速のストリートを形作ってきました。
LEADERBIKES(リーダーバイクス)のエアロダイナミクス、軽量性、耐久性、操作性を兼ね備えたスタイリッシュなピストバイクは、初心者から上級者、ストリートからアスリート、業界人まで幅広く支持されています。
LEADERBIKES(リーダーバイクス)は今や世界中のピストバイク界に欠かせないブランドとなっています。
伝説的なピストクルー【MASH】のオリジナルメンバーEmi BrownやMassanが乗っていることでも有名です。
リーズナブルですが、驚きのハイスペックなのでピストバイクのエントリーモデルとして選ぶ方も多いです。
LEADERBIKES(リーダーバイクス)の定番ピストバイクは、725TRです。
725TRは、サーキットではなく、ストリートで走ることをコンセプトに設計されています。
トップチューブとシートチューブの角度を高くすることで、スキッドに適したジオメトリーとなっています。
また、フォークにカーボンフォークを採用することで、アルミフレームの弱点である振動吸収性を向上。
何よりも725TRの魅力は、他に類を見ないカッコよさ。
LEADERBIKES(リーダーバイクス)の代名詞と呼ばれる理由がよくわかります。
人気ブランド④CARTELBIKES(カーテルバイクス)
CARTELBIKES(カーテルバイクス)は、東京都 西麻布のピストバイクショップDinerのオリジナルプロダクトです。
CARTELBIKES(カーテルバイクス)は東京生まれ東京育ちの、日本のストリートを走るためのピストバイクブランドです。
クロモリ製のシンプルなホリゾンタルフレームや、前下がりのアグレッシブなフレームをラインナップしています。
オリジナルのカーボンホイールも用意されています。
CARTELBIKES(カーテルバイクス)は、必要最低限のパーツまで削り落とした、シンプルなバイクでスムーズなシルエットにこだわっています。
CARTELBIKES(カーテルバイクス)の定番は、AVENUE(アベニュー)です。
AVENUE(アベニュー)は1インチクロモリパイプを採用したエントリーモデルのピストバイクです。
フルクロモリならではの優しい乗り味とクラシックなスタイルをお楽しめると人気です。
クロモリ特有のしなやかな乗り味は、初めてのフィクサーバイクに最適です。
AVENUE(アベニュー)は飽きのこないシンプルなデザインが人気のロングセラーモデルで長く乗り続けられる1台になります。
また、他ブランドとの互換性もあり、カスタムバイクのベースとしても最適で、自分だけのオリジナルバイクにカスタマイズすることができるのが人気です。
まとめ
本記事では、ピストバイクの定義や特徴から人気の理由、デメリット、さらに人気ブランドのご紹介をしました。
ピストバイクは日本でも2000年代に流行しましたが、当時はブレーキ無しの違法ピストバイクも多く社会問題になりました。
その後、法改正により現在ではブレーキ無しのピストバイクは販売されていません。
純粋にピストバイクの乗り心地やビジュアルに魅了されたピストバイクファン達によって人気が続いています。
スポーツバイクに乗ったことがない方から、現在ロードバイクやクロスバイクに乗ってる方にも是非ピストバイクを試してみて頂きたいです。
固定ギアのクセのある体験は、必ずあなたをピストバイクの虜にしますよ。