ピストバイクとロードバイクは、とても見た目が似ています。
しかし実はピストバイクとロードバイクは全く異なる自転車なのです。
ピストバイクとロードバイクの違いを教えて!
本記事では、そのようなお悩みを解決します。
ピストバイクとロードバイクの違い
同じ細身のフレームに細身のタイヤ、前傾姿勢のスタイル。
ぱっと見は同じ自転車に見えるかもしれませんが、ピストバイクとロードバイクの大きな違いは「ギアの数」です。
ギアの数が異なる
ロードバイクは多段ギアのため、ギアの数が前後合わせて20~30個もあります。
対してピストバイクはシングルスピード(単一ギア)のため、ギアは1つしかありません。
ロードバイクは多数のギアを速度や路面に合わせて走行中にギアを切り替え、最適なギア比で走れるよう調整します。
そのため山道を含むロングライドや、スピードを出したい時にはロードバイクが得意な領域です。
ピストバイクはギアが1つなので走行中にギアチェンジが不要です。
ギアの状態を気にする必要がないため、ペダルを漕ぐことに集中できます。
また、脚力を鍛えることで、ロードバイクに負けず劣らずのスピードで走行することも可能です。
自らの足で漕ぐ、そのダイレクトに伝わる感触がピストバイクの魅力です。
後輪部分の見た目が異なる
ギアのあるなしで見た目も大きく変わります。
下記はピストバイクもロードバイクも用意されているCINELLI(チネリ)のVIGORELLI(ヴィゴレッリ)です。
一見同じ見た目に見えますが、後輪部分にフォーカスすると大きく違いがあります。
ピストバイクは変速機が無いため後輪部分がスッキリしています。
シングルスピードか多段ギアかは一目瞭然です。
固定ギアとフリーギアの違い
ピストバイクは「固定ギア」と呼ばれるギアを装備しており、ペダルの動きと後輪の動きが連動しているのが特徴です。
そのため走行中にペダルを漕ぐのを止めたとしても、自転車が進んでいるかぎりペダルが回り続けます。
また、逆に漕ぐとバックする構造になっており、ブレーキの代わりにペダルを逆に踏んで回転数を減らして速度調整することができます。
ペダルを漕ぎ続けないと進めないので、坂道でも常にペダルを漕ぎ続ける必要があります。
対して、ロードバイクや一般的な自転車で装備されているのは「フリーギア」となります。
ペダルを漕ぐのをやめるとギアが空回りする構造になっています。
速度がある程度出た段階ならペダルを漕がなくてもそのまま進むことができます。
得意な場所や走行距離が異なる
ロードバイクとは、ロードレースを走るための自転車のことです。有名なロードレースは「ツール・ド・フランス」です。
簡単に言うと、長い距離を速く走るレースで、100キロ、200キロと長距離を走ります。
山を越えたり、険しいコースが続きます。
ピストバイクの本来の姿は、トラックレースで走るための自転車です。
「ピスト」という言葉が浸透しているのでわかりにくいですが、「ピスト(フランス語)」=「トラック(英語)」と言い換えればわかりやすいと思います。
1周250~400mのトラックを高速で走るレースです。数百メートルから最大で20~30キロの範囲で競います。
通勤や街乗りで、10~20キロ程度の距離を走るならピストバイクがおすすめで、100キロ以上を走るならロードバイクがおすすめと言われています。
もちろん、ピストバイクで100キロ以上走るツワモノもいますよ。
取扱店舗の数が異なる
ピストバイクとロードバイクを比べると、取扱店舗の数が圧倒的に異なります。
ロードバイクはほぼすべてのスポーツバイクを扱う自転車店に置いてますが、ピストバイクは数十店に1店あるかないか、だと思います。
ピストバイクでも「ロードバイク」という商品名で販売していることもあります。
ピストバイクを探すのであれば、ピストバイク専門店に行ってみることをおすすめします。
平均価格が異なる
ピストバイクとロードバイクは平均価格も異なります。
ロードバイクは最低10万円以上はかかり、人気ブランドであれば15万円以上は必要です。
それに対してピストバイクなら5万円台から購入できます。
10万円前後あれば、かなり良いピストバイクが購入できちゃうので、浮いたお金でパーツやウェアなどを充実させることも可能です。
スポーツバイクを始めたいけど、費用を抑えたい方にもピストバイクはおすすめです。
メンテナンスにかかる費用が異なる
ピストバイクとロードバイクを比べると、メンテナンスにかかる費用が異なります。
ピストバイクはパーツが少ないという特性上、故障が少ないのも特徴です。
対してロードバイクは、とくに変速機が故障しやすく、自転車が倒れてしまった時に変速機をぶつけてしまうだけで調整が必要になる場合もあります。
ピストバイクなら、頻繁にメンテナンスする必要が無いので、メンテナンスが苦手な方にもピストバイクはおすすめです。
一般的な服装が異なる
ロードバイクというと、ピタッとしたサイクルジャージを着るイメージがあると思います。
気軽に自転車に乗るというよりも、さぁロードバイクに乗るぞ!という格好ですよね。
そこまで服装を気にせずに自由に乗りたいというかたには、ピストバイクがおすすめです。
ヘルメットは安全性のために着用が望ましいですが、それ以外の服装は普段着でもピストバイクなら全然OKです。
街乗りに特化したピストバイクは、普段着でも違和感はありません。
気軽に自転車に乗ることができるので、そういう気楽さもピストバイクの人気の理由です。
ピストバイクとロードバイクの共通点
ここまで、ピストバイクとロードバイクの違いについて見てきました。
ここからは、ピストバイクとロードバイクの共通点について解説します。
ハンドルの形状
ピストバイクもロードバイクも「ドロップハンドル」という共通点があります。
厳密には、ロードバイク用のドロップハンドルはバーの中央部分に水平な箇所があるのに対して、ピストバイクのドロップハンドル(ピストバーハンドル)は水平な箇所がなく、曲線だけの構造になっています。
ロードバイクのドロップハンドルはブレーキブラケットがついていますが、ピストバーハンドルにはついていません。
また、ピストバイクにはドロップハンドル以外にもライザーバーやブルホーンバーなどの形の異なるハンドルをカスタマイズされる方も多くいます。
フレームの形
ピストバイクもロードバイクも細身のフレームに様々な素材が使われているという共通点があります。
- クロモリフレーム
- アルミフレーム
- カーボンフレーム
- チタンフレーム
と様々です。
細身のタイヤ
ピストバイクもロードバイクも細身の空気圧が高めのタイヤを使うという共通点があります。
規格も同じなので、ロードバイク用のタイヤをピストバイクで使うことも可能です。
素材によって乗り心地が大きく異なります。
その違いは、重量と剛性・クッション性です。
あなたの好みのタイヤを見つけてみてください。
ペダル
ペダルもロードバイクとピストバイクで基本的には共通です。
ピストバイクはペダルストラップをつける場合には、ストラップを通す穴のある専用のペダルである必要があります。
比較的リーズナブルに変更できるので、カスタマイズ初心者の方にもペダルの交換はおすすめです。
基本的にパーツは共有できる
ピストバイクもロードバイクも基本的にはパーツはお互い共有することができます。
ロードバイク用のパーツがピストバイクでも使えるため、カスタマイズはとてもしやすいです。
ピストバイク専門店でなくても、一般的なスポーツバイクを販売している自転車店で購入できるので嬉しいですね。
まとめ
ピストバイクとロードバイクは見た目は似ていて共通点もありますが、違いも多く見つかりました。
ピストバイクは市街地を10~20km走ることに特化していて、ロードバイクは50~100kmの長距離を峠から市街地まで走ることを想定されて作られています。
もちろんピストバイクで長距離を走ることも可能ですし、ロードバイクで市街地をポタリングすることも可能です。
※ポタリング・・・目的地を特に定めることなく気分や体調に合わせて周辺を自転車でめぐること。 一人か家族連れや気の合う仲間で、近郊を「散歩」程度に軽くサイクリングすることである。
ピストバイクもロードバイクも、乗り方はこうでなくてはならない!という決まりは無いので、あなたの好みやフィーリングで選んでいただいて大丈夫です。
ピストバイクからロードバイクに乗り換える方、ロードバイクからピストバイクに乗り換える方、どちらも一定数います。
まずは店頭で実物を触ってみて、可能であれば試乗して乗り心地を試してみてください。