ピストバイクのハンドルカスタムにおいて、ドロップハンドルやライザーバーと並んで絶大な人気を誇るのが「ブルホーンバー」です。

その名の通り、闘牛(ブル)の角(ホーン)のように前方に突き出した攻撃的なシルエットは、ピストバイクのシンプルなフレームをより戦闘的でスタイリッシュに引き立ててくれます。しかし、ブルホーンバーの魅力は見た目だけではありません。実は、長距離を走るロングライドにおいて、ライダーの疲労を劇的に軽減してくれる極めて実用的なハンドルなのです。

この記事では、ブルホーンバーがなぜピスト乗りに選ばれるのかという理由から、購入前に確認すべき規格の注意点、おすすめのブランド5選、そして初心者でもできるバーテープの巻き方やブレーキレバーの処理方法までを徹底的に解説します。愛車のイメージチェンジと快適性の向上を同時に叶えましょう。

なぜピストバイクにブルホーンバーが選ばれるのか?

元々はタイムトライアル(TT)競技などで空気抵抗を減らすために使われていたブルホーンバーですが、街乗りのピストバイクにこれほどまで普及したのには、明確な理由があります。

闘牛の角のようなアグレッシブなルックスと空気抵抗の軽減

ブルホーンバーの最大の魅力は、何と言ってもその前傾姿勢を強調したアグレッシブなルックスです。ドロップハンドルのように下に向かって曲がっていないため、横から見た時の車体のシルエットがスマートにまとまり、ストリートファッションとの相性が抜群です。

また、リーダーバイク(LEADER BIKES)735TR徹底インプレ|ストリート最速の乗り心地で紹介されているような極太のエアロフレームとブルホーンバーを組み合わせると、まるで戦闘機のような威圧感を放ちます。

機能面においても、前方に突き出した角の部分(ホーン部)を握ることで、自然と上半身が深く前傾し、向かい風を切り裂くような低い姿勢(エアロポジション)を取ることができます。これにより空気抵抗が大幅に軽減され、向かい風の強い日や直線の長い道路でのスピード維持が非常に楽になります。

複数のポジション(握り手)による長距離ライドでの疲労分散効果

実はブルホーンバーは、ドロップハンドル以上に「ロングライド(長距離走行)に向いているハンドル」だと言えます。その理由は、握れる場所(ポジション)の多さにあります。

フラットバー(真っ直ぐなハンドル)やライザーバーの場合、基本的に「手前の真っ直ぐな部分」しか握ることができないため、長時間同じ姿勢が続き、手首や腰に疲労が集中してしまいます。

しかしブルホーンバーであれば、リラックスして走りたい時は「手前のフラットな部分」を握り、坂道を登る時や立ち漕ぎ(ダンシング)で力を込めたい時は「前方の角の部分」を握り込む、といった形で、状況に合わせて姿勢を自由に変えることができます。このポジションの分散が、長時間のライドにおける手首や腰の疲労を劇的に軽減してくれるのです。

ブルホーンバー選びで失敗しないための3つのチェックポイント

ブルホーンバーには様々な形状や規格が存在します。「形がかっこいいから」という理由だけで購入すると、自分の自転車に取り付けられないという悲劇が起こります。

クランプ径(25.4mmか31.8mmか)とステムの互換性の確認

ハンドルを購入する際に絶対に間違えてはいけないのが、ハンドルの中心部分(ステムに挟み込む部分)の太さである「クランプ径」です。

現在のスポーツ自転車のクランプ径は、主にクラシカルな細身の「25.4mm(1インチ)」と、現代的で太い「31.8mm(オーバーサイズ)」の2種類に分かれています。ハンドル形状で走りが変わる!ドロップ・ライザー・ブルホーンの選び方の記事でも注意喚起していますが、自分の自転車についているステムのクランプ径を定規やノギスで正確に測り、それと同じ太さのハンドルを購入しなければ物理的に取り付けることができません。

どうしても違う太さのハンドルを使いたい場合は、ハンドルだけでなく「ステム」も一緒に買い換える必要があります。

前への突き出し量(リーチ)と落差(ドロップ)がポジションに与える影響

ブルホーンバーの形状はどれも同じに見えますが、実は「前方にどれくらい突き出しているか(リーチ)」と、「先端が下にどれくらい下がっているか(ドロップ)」によって乗り味が全く異なります。

突き出し量(リーチ)が長いモデルは、より深い前傾姿勢を取ることができるため、スピードを求めるライダーに向いています。逆にリーチが短いモデルは、前傾が浅くなるため街中でのストップ&ゴーが楽になります。

また、角の部分が先端に向かってストンと下に落ちている「ドロップ・ブルホーン」と呼ばれる形状は、手首の角度が自然になり立ち漕ぎがしやすいというメリットがありますが、前傾姿勢がかなりキツくなるため、体の柔軟性と相談して選ぶ必要があります。

ピスト乗りに愛される最強のブルホーンバーおすすめ5選

ここからは、世界中のピストライダーから支持を集めている、実績とデザイン性に優れたおすすめのブルホーンバーを厳選して5つ紹介します。

圧倒的な人気を誇る定番モデル「DEDA CRONONERO(デダ クロノネロ)」

ブルホーンバーの代名詞とも言えるのが、イタリアのパーツブランド「DEDA(デダ)」が誇る「CRONONERO(クロノネロ)」です。

角の先端に向かってわずかに下がっていく(ドロップしている)美しいシルエットが特徴で、握った時の手首の角度が人間工学的に非常に自然になるよう計算されています。扁平したエアロ形状になっているため握り心地も良く、迷ったらこれを買っておけば絶対に後悔しないと言える、マスターピース的な存在です。

価格も5,000円台〜と手頃でありながら、マットブラックの質感が非常に高く、どんなフレームにもバッチリと似合います。

美しい曲線美とシルバーパーツとの相性「NITTO RB-010(日東)」

日本の老舗パーツブランド「NITTO(日東)」のブルホーンバー「RB-010」は、その息を呑むような美しい曲線美で多くのファンを魅了しています。

DEDAのようなカクカクとしたエアロ形状ではなく、職人の手によって滑らかに曲げられた丸パイプのシルエットは、クロモリフレームなどの細身のピストバイクと相性抜群です。

特にシルバーカラーのモデルは、丁寧に磨き上げられたポリッシュ仕上げが施されており、【保存版】NJSフレームの魅力と各メーカー(ナガサワ、サムソン、カラビンカ)の特徴で紹介するようなクラシカルな競輪フレームのカスタムには欠かせない至高の逸品です。

極太のエアロ形状でストリートに映える「LEADER BIKES CORSA」

カリフォルニア発のストリートピストブランド「LEADER BIKES(リーダーバイク)」が手掛ける「CORSA(コルサ)」は、他のブランドとは一線を画す極太のルックスが特徴です。

カーボン素材を使用したモデルもあり、圧倒的な軽さと振動吸収性を誇ります。ハンドルの上部が翼のように平たく潰されたエアロ形状になっており、手をパーにして乗せることができるため、ロングライド時の疲労感が劇的に軽減されます。

リーダーバイクの725TRや735TRといった極太のアルミフレームとの相性は言うまでもなく最高で、ストリートで目立つこと間違いなしの攻撃的なハンドルです。

初心者でも簡単!ブルホーンバーへのバーテープの巻き方

ブルホーンバーを購入したら、次は「バーテープ」を巻く作業が待っています。金属むき出しのままでも乗れますが、滑りやすく手が痛くなるため、基本的にはバーテープを巻くことを推奨します。

巻き始めは先端から?根元から?見た目を決める巻き方の方向

ブルホーンバーにバーテープを巻く際、最初の悩みどころとなるのが「角の先端から巻き始めるか」「ハンドルの根元(ステム側)から巻き始めるか」という問題です。

結論から言うと、「角の先端から巻き始める」のが一般的であり、仕上がりも綺麗になります。バーテープ派?グリップ派?ハンドルの握り心地を左右するパーツ選びのポイントを参考に好みのバーテープを用意したら、角の先端から少しだけテープをはみ出させた状態で巻き始め、テープの幅の1/3程度が重なるようにしながら、引っ張りながら内側(ステム側)に向かって巻いていきます。

角のカーブ部分はシワが寄りやすいため、外側を大きく、内側を小さく重ねるようにして慎重に巻いていくのがコツです。

エンドキャップの確実な処理と、滑りにくい巻き幅のバランス

ステムの近くまで巻き終えたら、最後はテープをハサミで斜めにカットし、付属のエンドテープ(またはビニールテープ)でぐるぐると巻いて剥がれないように固定します。

巻き始めの角の先端部分は、はみ出させたテープをパイプの内側に折り込み、そこに「エンドキャップ」をグッと押し込んでテープを完全に固定します。もしエンドキャップが緩くて走行中に落ちてしまう場合は、キャップのギザギザ部分にビニールテープを1〜2周巻いて太さを調整してから押し込むとガッチリと固定できます。

巻く範囲は個人の自由ですが、角の部分だけ短く巻くスタイル(忍者巻き)や、ハンドルの根元まで全てフルで巻くスタイルなど、自分のよく握るポジションに合わせて長さを調整してください。

ブレーキレバーの取り付け位置とワイヤーの処理方法

ブルホーンバーにする際、最も頭を悩ませるのが「ブレーキレバーをどこに取り付けるか」という問題です。

先端につけるTTレバーか、手元につける補助レバーかの選択

ブルホーンバーのブレーキの取り付け位置には、大きく分けて2つのスタイルがあります。

1つ目は、角の先端部分に差し込むように取り付ける「TT(タイムトライアル)レバー」です。常に角の部分を握って前傾姿勢でガンガン走るスタイルに向いており、見た目も飛行機の操縦桿のように非常にスタイリッシュに仕上がります。

2つ目は、ハンドルの根元のフラットな部分に取り付ける「補助レバー(インラインレバー)」です。上体を起こしてリラックスした姿勢で街中を流すことが多い場合、こちらの方が咄嗟にブレーキをかけやすく安全です。街乗り最強はどっち?ピストバイクとクロスバイクの維持費・乗り味・楽しさを徹底比較でも触れている通り、ストップ&ゴーが多い街中では、フラット部を握る時間が長くなるため補助レバーを選ぶライダーが多い傾向にあります。

穴あきハンドルを利用したワイヤーの内装(インターナル)化

TTレバーを角の先端に取り付けた場合、ブレーキワイヤーがハンドルの外側を這うことになり、バーテープを巻いた時に少しモコッとしてしまうのが難点です。

これを解決するのが、ハンドルの内部にワイヤーを通すための穴が空いている「穴あきブルホーンバー」の存在です。DEDAのクロノネロなど一部のモデルにはこの穴が用意されており、ワイヤーをハンドルのパイプの中(インターナル)に通すことができます。

ワイヤーを内装化すると、バーテープの下にワイヤーの凸凹ができず、見た目が極限までスッキリと美しく仕上がります。ワイヤーを穴に通す作業は少しコツがいりますが、ピストバイクらしい「引き算の美学」を追求するならぜひ挑戦したいカスタムです。

【まとめ】ブルホーンバーでより遠くまで、より攻撃的に街を駆け抜けよう

ブルホーンバーは、見た目のカッコよさと実用的な快適性という、一見相反する要素を完璧なバランスで両立させた奇跡のハンドルです。

ブルホーンバー導入のための最終チェック
  • 購入前に必ず自分のステムの「クランプ径(太さ)」を測って確認する
  • ストリート系ならDEDAやLEADER、クラシック系ならNITTOがおすすめ
  • バーテープは「角の先端」から巻き始め、最後にエンドキャップで押し込んで固定する
  • 街乗りメインなら根元に補助レバー、スピード重視なら先端にTTレバーをつける
  • ポジションの多さを活かして、ロングライドでの手首や腰の疲労を軽減する

ドロップハンドルほどの深い前傾は必要ないけれど、ライザーバーよりもスピードを出して遠くまで走りたい。そんなわがままな要求に応えてくれるのがブルホーンバーです。

いつもの街並みが違って見えるほど、アグレッシブな走りを引き出してくれるブルホーンバー。ぜひ次のカスタムの候補として、あなたの愛車に取り入れてみてください!

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